クラスTシャツを作るときに注意すべき著作権に関する5つのこと

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アニメや漫画のキャラクター、アーティストの曲名や歌詞などには著作権があるため、それらを権利者に無断で使用することはできません。

また、オリジナルTシャツのプリント業者も著作権を侵害するようなデザインについては使用許可の証明になるものを提出しない限り、基本的に注文を受け付けてくれません。

文化祭のクラスTシャツやバンドTシャツなどのオリジナルTシャツを作る時に気をつけるべき著作権に関する注意事項を説明します。

著作権のあるイラストをTシャツに印刷するためには許可が必要

下記のようなデザインを印刷したクラスTシャツを作りたいときは、権利者や権利団体の許可が必要になります。

  • 漫画やアニメ、ゲームのキャラクター
  • タレントの名前、歌手名、バンド名
  • 歌詞や曲のタイトル
  • CDや雑誌の写真や文章
  • 企業やブランド、飲食物のロゴあるいはイラスト

クラスTシャツのデザインに使う場合は著作権の管理者と事前にコンタクトをとり、利用目的や期間をきちんと説明して使用許可をもらいましょう。

テレビで放映されているような人気アニメや週刊誌で連載している人気漫画は許可が下りないことが多いですが、意外とすんなりOKをもらえるケースもありますのでダメもとで頼んでみるのも良いかと思います。くれぐれも無許可で使用するようなことはないようにしましょう。

パロディ・オマージュのデザインでクラスTシャツを作りたい場合

例えば、人気漫画の登場キャラクターに似せて描いたクラスメイトのイラストをTシャツに印刷したい場合はどうなるのでしょうか?

この場合、元のキャラクターとの類似性が認められる場合、つまり元ネタがわかるようなデザインの場合は権利保有者からの許諾が必要となります。

しかし、似ているかどうかというのは人によって意見が別れるためプリント業者側でも判断が難しく、最終的には「Tシャツにプリントすることは可能ですが、そのデザインによって何かトラブルが起こったとしても、注文した人の責任で対処してください」という姿勢のようです。

文化祭のクラスTシャツに著作権のあるイラストを使う場合

著作権法第35条では「学校などの教育機関において授業で使用する場合、著作物を複製する際の許可は必要ない」とされています。

第三十五条

  1. 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
  2. 公表された著作物については、前項の教育機関における授業の過程において、当該授業を直接受ける者に対して当該著作物をその原作品若しくは複製物を提供し、若しくは提示して利用する場合又は当該著作物を第三十八条第一項の規定により上演し、演奏し、上映し、若しくは口述して利用する場合には、当該授業が行われる場所以外の場所において当該授業を同時に受ける者に対して公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行うことができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

参考:公益社団法人著作権情報センター

文化祭Tシャツに著作権法第35条は適用されるのか?

一般社団法人日本レコード協会の例によると、「文化祭(あるいは体育祭)」それ自体は授業の範囲内と認められるようですが、「文化祭や体育祭で着るためのTシャツを作ること」を学校の授業で必要なこととみなすのは正直無理があるように思われます。

もうひとつの問題は、文化祭が終わった後に作ったTシャツをどうするかということです。文化祭のクラスTシャツを普段着として日常的に着る人はあまりいないと思いますが、誰かが公の場で着用してそれが著作権者の目に留まる可能性はゼロではありません。それを防ぐためには、文化祭の後に速やかに捨てるか、もしくは自宅でパジャマとしてのみ使うことを徹底周知する必要があります。

したがって文化祭や体育祭といった学校行事での利用であっても、著作権のあるイラストをTシャツに印刷したいときは、著作権者に許可をとってから利用したほうが良いでしょう。

個人利用・私的利用なら問題ないのか?

著作権に関してよく「商用利用でなければOK」「販売目的ではないので問題ない」という意見があります。
著作権は販売しなくても無断で使えば権利侵害になります。

著作権に厳しいディズニーは

ディズニーは著作権に関して非常に厳しいことで有名です。
昭和62年、とある小学校の卒業制作で卒業生たちがプールの底にミッキーマウスのイラスト描きましたが、事前にウォルト・ディズニー・カンパニーに許可をとっていなかったため、2ヶ月がかりで描いたイラストを消すことになってしまったということがありました。

大人気ドラマ「あまちゃん」の中でも電車の車両に自由にイラストを描くシーンでネズミのイラストが描かれているのを見つけた鉄道職員が「ネズミはやめとけ」とネタにするほどです。

例え学校行事で使うものだとしてもミッキーマウスやドナルドダックなどのディズニーキャラクターを許可無く使うのはリスクが大き過ぎますので絶対にやめておきましょう。

まとめ:著作権のあるデザインでクラスTシャツを作る時は必ず権利者の許可を

今から10年くらい前までは、Tシャツや紙媒体にアニメや漫画などのキャラクターをプリントすることについては今ほど厳しくありませんでした。私の通っていた学校でも、生徒会が作ったチラシやポスターに平気で漫画のキャラクターイラストが使われていましたし、先生たちの中にもそれを注意するような人はいませんでした。先述のディズニーの件が良い例(?)です。

もちろん著作権という法律自体はありましたが、それらの印刷物は学校の関係者以外の目に止まることはまずないため、問題視されていなかったためと思われます。

しかしながら、近年はスマートフォンの普及により、上記のようなクローズドなケースにおいても問題が発覚する可能性(つまりバレる可能性)が非常に高くなりました。

例えば、クラスTシャツに漫画のキャラをプリントした → 文化祭当日に作成したTシャツを着てみんなで集合写真を撮影 → クラスメイトの一人が撮影した写真をSNSにアップ → アップされた写真を見た第三者が著作権者に通報・・・という感じで、あっという間に炎上するようなケースも少なくありません。

トラブルが起こってしまってはせっかくの楽しい思い出も台無しになってしまいますので、著作権があるものでクラスTシャツを作るのは避けた方が良いでしょう。